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チャラ男美形書記×平凡







 それは昼飯を食べようと食堂に来た時の事だ。いつものようにボサボサ鬘のオタクな同室者に無理矢理引きずられてやってくれば、これまたいつものように現れる生徒会メンバーが俺の前に立ちはだかった。
 バ会長と双子会計に言いくるめられるようにして生徒会専用ブースへと同室者が消えれば、やれやれと肩を落としてため息をつく。目の前には高慢ちきな顔をしている美少女のような人が1人腕組みをして立っている。アンタ本当に俺と同じモンついてんのかって掴んでたしかめてやりたいよ、副会長さんよ。

「お前、生徒会に近づくために雄介を利用するとか最低ですね。」
「はぁ?何を言ってくれちゃってんの副会長。俺がいつあのボサボサオタクを利用したって?」
「じゃあなんで毎日毎日雄介と一緒にいるんですか。」
「んなの、高瀬が勝手に懐いてるからだろーが。俺は同室っていう以外にあいつとの接点はねーよ。」

 まぁこう説明したって偏愛に溺れてるこいつに通じるわけもなく。案の定ちっと舌打ちをして副会長が俺の顔を睨んでくる。

「金輪際雄介に近寄らないでください。でないと潰しますよ?」
「…やれるもんならやれば?つーかアンタらもさ、高瀬にちゃんと俺に近づくなって言うのも忘れんなよ。迷惑してんのはこっちだっつーの。」
「言いましたとも。けれど優しい雄介は、貴方が1人でいるのが耐えられないらしいですよ。最近は親衛隊の制裁もあるそうですし、1人が寂しいならいっその事退学すればどうですか?」
「へぇ、アンタ…親衛隊の事知ってんのか。…風紀にも言ってなかったんだけどなぁ?」
「…っ!」

 確かに1週間ほど前から親衛隊によって制裁が始まっていたが、俺は誰にも話していない。制裁という名の暴力は今のところ見えないところへの殴る蹴るという行為だったので、喧嘩にそこそこ強い俺はもう少し様子を見ておこうと思ったからだ。
 しかし、目の前の男はそれを知っている。それはつまり、関係者だからだろう。

「そうか、アンタが命じてたのか。それなら──」
「ふぅ〜ん、向島に制裁してたのって副会長だったんだぁ?」

 容赦しなくてもいいなと続けようとした声に被さる、けだるげな声。がしっと俺の肩を掴み、俺の顔に自分の頬を擦り寄せてくる人物にひく、と口元がひきつった。
 いきなり現れた人物に、食堂にいた可愛い系の生徒達から歓声が上がるが、副会長はその姿と俺に親しそうな態度を見て驚愕の色を隠せないようだ。

「ま、間宮?な、なんですかいきなり。」
「はぁ〜い、麗しの書記間宮様参上だよん。で、副会長様はあれだけ嫌ってた親衛隊を使って何してくれたって〜?」

 口調はあくまでチャラけたままに、生徒会書記である間宮 聖がにっこりと副会長を見る。当然その目は笑っていなかった。あーキレそうだなこいつ、と俺はぼんやり聖の整った顔を見上げる。

「間宮…私は雄介がそいつに─」
「あのさぁ、俺がここ2週間くらい生徒会業務で目ぇ離しちゃってる間に何してくれちゃってんの〜?そもそもアンタらがあのマリモに構ってるから俺にしわ寄せきちゃって大変なんだからねぇ…俺の大事な律に傷をつけてくれちゃって、どうしてくれんのコレ。」
「そもそもそいつが雄介を利用してっ」
「はぁ?アンタ耳ついてんの〜?律は俺の大事なハニーなの。生徒会に近づいてるんじゃなくて、俺が律を構ってるだけ。あんな親の命令で俺らに尻尾振ってるようなマリモと同じにしないでよね〜」

 そう言うと、聖は俺の腰をぐいと抱きよせてこめかみにキスを落としてくる。あーあ、秘密の関係だったのに食堂でしちゃったら明日から俺平穏な生活できないんだけど、どうしてくれんだよ聖…

「雄介が尻尾を振ってるってどういう事ですか?!」
「そのまんまの意味っしょ。だってあいつの家、アンタの実家とバ会長の実家に取引切られそうになってるから。ちょっと優しくしたらそれ理由で転入して来たんだって簡単に吐いたよ〜?」
「そ、そんなはずはっ」
「ん〜じゃああのマリモの交友関係今一度確かめてみればいーよ。好き好き言って友達だなって言った相手は全部取引先の子供だと思うよ〜」

 俺は速攻切るように家に連絡したけどねぇ、なんて聖は笑う。いつものへらへらした顔じゃなくて、してやったり顔が悪そうだ。でもカッコよかった。
 呆然とした副会長はもう俺達に言い返す事がなくなったので、言いたいことを全部言ったらしい聖が俺に部屋に戻ろうと言ってくる。おとなしく言われるままに食堂を後にすれば、階段の踊り場でぎゅうと抱きしめられた。

「あのさぁ律。」
「…何?」

 少し低い声が、まだ怒っている事を示しているから緊張する。

「俺律にも怒ってるからねぇ?」
「なんでだよ。」
「だって律、俺を頼ってくんなかった〜」

 それはだって、生徒会の仕事で寝不足になってるお前に心配かけたくなかったんだよ。なんて所詮言い訳だから言えるはずはなく俺は黙る。

「…んー、よし。仕事はほぼ終了したから、今日はじっくり相手したげるね〜?」
「……え゛?」

 嫌な予感がして、俺は聖の顔をゆっくりを見上げた。にんまり、という表現の似合うイケメンがそこにキラキラしている。こういう時の聖はろくでもない事を言い出すに決まっていた。

「嫌だって言っても寝かさないからね〜。お仕置きだよ〜」
「いや、それはちょっと困るしほら、俺今のとこ大丈夫だったしさ?」
「だーめ。」



 ──親衛隊の制裁なんて、聖のお仕置きに比べたら蚊に刺されたようなものだったと思う。聖にだけは、隠し事はすまいと誓った俺なのだった。




平凡主人公(王道と同室)…向島 律 むこうじま りつ 17歳
チャラ男美形書記… 間宮 聖 まみや こうき 17歳
王道転校生… 高瀬 雄介 たかせ ゆうすけ 17歳
副会長… 18歳 3年




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2010/10/03