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相良と櫻井 転校初日に






「東京の──から来た、櫻井 蓮て言います。どうぞ皆よろしくね〜」

 教壇の前でそう自己紹介をすれば、クラスにいた女子生徒は色めき、男子生徒はうざそうに俺を見た。
 顔が女子好みの造形であることは自覚してるけど、ここまで男子に嫌われそうな反応されるのはいやだなぁ、なんて思う。まぁ男に興味はあんまりないけど。

「それじゃ櫻井はそこの空いている席につけ。」
「はーい」
「えぇとそうだ。相良。」
「はい。」

 間延びした返事をしてへらりと緩んだ笑みを浮かべた俺は、教師に指示された席につくべく椅子を引いた。すると名前を呼ばれた生徒なのだろう、俺の前の席の椅子が引かれて、やや高い身長が俺の姿を教壇から隠す。

「櫻井の面倒を見てやれ。」
「…はぁ。」

 俺からはその顔は見えなくて、でも彼が面倒そうな声を上げた事は分かった。しかし頼まれるからには相良という生徒は学級委員なのかなと思う。
 しかし俺の予想は、俺の後ろの席にいる茶色い短髪の生徒によって即座に否定される。

「そういうのは学級委員長の仕事じゃないんですかぁ?」
「あれ、違うんだ?それなら別に無理しなくてもー」

 思わずそう言えば、背を向けていた生徒がくるりと俺の方を見たので思わずその姿に目を見張る。
 俺の前にいたのは、男前と言えるタイプの男だ。

 襟足に届く程度の黒髪は、目や耳にかからない程度に程良くと切られていて、きりりと釣り上がり気味の太めの眉に、シャープな顎の線とすっきりした鼻梁。
 きっちりと着こなされた制服と、引き結ばれた唇に彼の実直さのようなものがにじみ出ている。
 それはまさしく、美しいや可愛いというタイプではなくいわゆる男らしさの溢れるタイプだ。

 これは、ヤバイ!

(ちょ、ちょっとこの人ストライクすぎるだろー?!)

 さっき男にあまり興味ないって思ってたのに、と俺は内心頭を抱える。困った、どうしよう完璧一目惚れだよ畜生カッコイイよー!

 挙動不審な動作こそしなかったけれど、そんな事を考えた俺の顔がどうやら困惑した苦笑だったらしく、相良と呼ばれた生徒はハァとため息を一つついた。

「?」
「相良 隆二だ、櫻井。面倒だが断る理由もないのでお前の世話係は引き受ける。よろしくな。」
「!」

 はっきり面倒とは言ったけれど、本気で嫌というわけではなかったらしい。それに相良の言葉と差し出された右手には、きちんと責務は全うするという意志が現れていた。

(なんてこったぁああー!)

 ますますもってカッコよくて、俺は目眩がして。その後相良と握手を交わしたはずなのに、なんと会話したかすら覚えていない。



──そう、この恋はまさに電撃的だったのだ。







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2010/09/24